甲状腺腫瘍
甲状腺の腫瘍性病変の多くは、腺腫様甲状腺腫もしくは濾胞腺腫であり、良性疾患に分類され治療を必要としません。ただし、良性であっても非常に大きい腫瘤は、美容や多臓器への圧迫の解除を目的として手術の対象となることが稀にあります。そして、頻度は少ないものの悪性腫瘍もあります。
甲状腺悪性腫瘍の90%以上は、乳頭がんです。乳頭がんは、進行が緩徐で転移も少なく、10年生存率は90%以上とされており、悪性腫瘍のなかでは予後が良好であると報告されています。甲状腺悪性腫瘍の5%を占めるのが、濾胞がんで、10年生存率は85%程度です。また、それよりも頻度の少ない髄様がんの10年生存率は75%程度です。
甲状腺の悪性腫瘍は進行がゆるやかなものが多いため、小さい腫瘤は精密検査の対象となりません。一般的には1cm程度が一つの目安となり、目安を超えた場合には穿刺吸引細胞診検査を行い、細胞の性質を調べます。
甲状腺悪性腫瘍の中で進行が早いのが、未分化がんと悪性リンパ腫です。のどが短期間で腫れてきた時は要注意であり、すみやかな検査が求められます。
甲状腺腫瘤の精密検査が必要と判断された場合は、甲状腺腫瘤の診療に精通する医療機関を紹介いたします。
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