24時間の血糖値が見える「FreeStyleリブレ」
血液中の糖の濃度を血糖値と呼びます。糖尿病という病名は、尿に糖が出ていることが由来ですが、その病気の元となるのは血糖値の上昇です。極端に血糖値が上昇しない限り、血糖値の上昇を感じることはありません。しかし、血糖値を高いままにしていると、のちのち体の不具合が出てくるため、血糖値の管理が必要です。
糖尿病が進行すると、血糖値が上昇し、さらに1日の中で血糖値が大きく上がったり、下がったりして変化が大きくなる場合があります。血糖値は採血検査で測定できますが、1日に何回も採血するわけにはいきません。採血ではなく、米粒程度の血液量で血糖値を測れるのが自己血糖測定器です。
自己血糖測定器は手軽に持ち運ぶこともでき、1日1回~4回程度、血糖値を測るのが一般的です。しかし、いずれにしても1日の中で、測定した瞬間の血糖値をとらえているだけで、実際には血糖値を把握していない時間帯のほうが圧倒的に多いことになります。1日中の血糖値の変化を見えるようにしたのが、持続血糖測定器です。
測定には血液ではなく、細胞と細胞の隙間を満たしている間質液を使います。怪我や火傷をした時に出てくる半透明の液体が間質液で、血管から染み出ています。持続血糖測定器は、間質液の糖(グルコース)濃度を測定しています。測定用センサーは3~4cm程度の大きさで皮膚に貼付けます。センサーの交換サイクルは機種によりますが10~14日間で、体につけたままで入浴もできます。センサーのデータは、スマートホン程度の大きさの血糖表示器へ送られ、グルコース値とグルコース値の線グラフが表示されます。
FreeStyleリブレは間欠スキャン式持続血糖測定器に分類されています。センサーに血糖表示器をタッチ(=スキャン)させるとデータが瞬時に転送され、グルコース値が表示されます。スキャンは服の上からでもOKです。
FreeStyleリブレの利点は?
・血糖値を確認する際に、毎回、指先を穿刺する必要はありません。
・血糖値の線グラフが表示されるので、血糖値の変化(上昇傾向・横ばい・下降傾向)が直感的に把握しやすくなります。
・食事内容や運動に伴う血糖値の変動を確認しやすくなります。
・お持ちのスマートホンがアプリの対応機種に合致していれば、スマートホンでスキャンができます。血糖値とその線グラフがスマートホンの画面上に表示されます。
FreeStyleリブレの欠点は?
・間質液のグルコース値と血糖値には、常に5~10分程度のタイムラグが発生しています。血糖値が短時間で大きく変化した場合には、表示されたグルコース値と血糖値の間にずれが生じます。
・測定センサーが不安定になり、表示されたグルコース値が正しくない場合があります。時々、自己血糖測定器を用いて血糖値を実測し、FreeStyleリブレの値と大きな違いがないかを確認することが勧められています。
・センサーのデータ容量は8時間が限界ですので、8時間(以内)毎にデータをスキャンする必要があります。
FreeStyleリブレを貸し出せる条件は?
インスリン製剤を1日1回以上注射している患者さんに対しては、保険診療でFreeStyleリブレをご使用いただけます。ただし、インスリンを使用していない場合(内服薬のみ、あるいは注射薬でもGLP-1受容体作動薬のみの場合)は、FreeStyleリブレは保険診療の対象外となります。
重症の糖尿病では、1日の中での血糖値の上下が非常に大きくなります。1日数回の自己血糖測定では、血糖値の全体像を把握することが難しく、ご自身が自覚していないところで低血糖を起こしている場合があります。そのような患者さんには、FreeStyleリブレのご使用がお勧めです。
川崎糖尿病甲状腺クリニックではFreeStyleリブレを取り扱っております。
FreeStyleリブレに興味のある方は、お気軽にご相談ください。
※ 2024年7月よりトライアルコースは中止とさせていただきました。
記事執筆 川崎糖尿病甲状腺クリニック院長 糖尿病専門医 荻原 健